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がんの縮小手術の実態


がんの手術をする際に切り取る範囲は、以下の3点を基準に決められます。

  1. がんの進行具合と、手術をすることによって治る見込みの大小
  2. 手術自体の安全性
  3. 手術をしたことによる機能の障害と、その回復の見込み

現代ではこれらのことを十分に考慮した場合、ほとんどのケースにおいて標準手術(標準術式)が採用されますが、この標準手術よりも規模を縮小した縮小手術が行われることもあります。では、縮小手術とはいったいどのような手術なのでしょうか。

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前述のとおり、現代ではがんの治療には標準手術が採用されることがほとんどです。ドイツ出身のオーストリアの外科医であるビルロートが胃がんの切除手術を世界で初めて成功させたのは1881年のこと。これをきっかけに、がんを完全摘出するためには切除範囲を拡大していく必要がある、という考え方が広まっていきました。

 

切除範囲が広がったことにより、手術後の機能障害を抑えるための見識が共有されるようになりました。また、切除された臓器を詳しく調査することによってがんそのものに対する研究も進められました。今では以前と比べてはるかに小さい早期がんも簡単に発見できますし、がんが見つかっても完全に治療が行えることがある程度期待できるようになりました。

 

一方で近年は、手術の根治性(効果)をできるだけ損なわないようにしながらも、手術の規模を縮小しようという動きも盛んになっています。このように、できる範囲で切除範囲を小さくする手術を縮小手術といいます。

 

切除範囲を大きくするということはそれだけ手術後の機能障害が大きくなりやすいということでもあり、様々な副作用が懸念されます。縮小手術はこうしたリスクを軽減するためのものです。一方で切除範囲を小さくしすぎて根治性が失われてしまっては本末転倒であり、このバランスのとり方が非常に難しいといえます。

 

たとえば、胃がんや大腸がんは切り取った部分を顕微鏡で調べて、完全にがんが切除できていれば、その周りのリンパ節を取る手術は必要ありません。これまでの医学的見識の蓄積の結果、粘膜という表層部分までにしか浸透していないがんについては、リンパ節への転移がほとんどないことが明らかになったからです。

 

さらにもしも内視鏡でがんが全部とりきれていなかったり、粘膜を越えてひろがっているような場合でも必ずしも標準手術を行うことはありません。一人一人の患者の具合に応じて、標準手術を行うか、縮小手術を行うかを決定します。現代ではこのように、病態に応じて手術規模を調整するという考え方が主流になっています。


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2016年4月16日 コメントは受け付けていません。 がん